NHK インプラント番組2

  本日は日本臨床歯周病学会関東支部が日本歯周病学会首都圏9大学との初の合同研修会を開催しました。

お陰さまをもちまして、沢山の方々にご賛同頂けました。

研修会にご参加頂いた方々、有難うございました。m( _ _)m

 

 

先日はインプラント治療を導入して大きな利益を得た歯科医院への取材に対するコメントを記載した。

今日は「インプラント治療を受けて苦痛を受けた患者さんが多く存在する」に対してコメントしたい。

私は番組を拝見しなかったのだが、NHKのHPに放送の一部映像と番組の趣旨が閲覧できるので拝見させて頂いた。

NHKの取材によると国民生活センターに沢山の相談が寄せられている現状と、その背景として「十分な技術を持たない歯科医師が無理に治療を行っている実態がある。」としている。
 

 

医療トラブルはどの様な状況で生じるのだろうか?

私は医療のトラブルは技術と経験の乏しい医療従事者による「未熟」が原因で起こる場合と、技術と経験の豊富な医療従事者による「過信」が原因で起こす場合の二つが存在すると思う。

 

 

 

 

 

先日、インプラント治療に対するセカンドオピニオンの依頼を受けた。

相談に訪れた患者さんはインプラント治療に対して何に不安を感じるのかさまざまな角度からお話を伺わせて頂いたのだが、どうもインプラント治療そのものに対しての不安があるわけでは無さそうだ。

結果的に執刀する歯科医師の経験が少ないことが不安な理由だった。

私は患者さんの不安を払拭することが先輩歯科医師としての務めではないかと考えた。そして患者さんに、臨床の大家と言われる先生にも必ず第一症例(最初の症例)は存在するのだと言うことを説明した。

歯を削って詰め物をする症例も、歯の神経を採る症例も、抜歯症例も、インプラント症例もそうであると。。。

 

因みに私のインプラント初症例はと言うと、前準備に大変な時間をかけた。

講習会にも参加した。

症例は比較的イージーなケースをセレクトし、資料は歯周病専門医の先輩歯科医に参照を願いアドバイスとコメントを頂戴した。

手術のシュミレーションは何度も繰り返し、夢にまで見るほどだった。

 結果、3本のインプラントを埋入したのだが、その症例は今までも大変満足の出来る症例となっている。

私は医療に対して真剣に真摯で真面目な姿勢で挑めば、不具合な症状が発症しても大きなトラブルケースに発展することは稀ではないかとと考えているのだが、如何だろうか。

 

 

 

 

 

先ほどとは違う患者さんからは、インプラント治療後の不具合に関する相談を受けた。

埋入したインプラントの見た目が悪く機能出来ていない。それをリカバリーしようと、何度も何度も無意味な手術を受け続けた大変気の毒な患者さんであった。

結局患者さんはこの医院での治療をあきらめ、他の医療機関で機能しないインプラントの上に入れ歯作成し装着している。

患者さんは、執刀医のHPに「インプラントが専門」と記載されていたので信用してしまった。とおっしゃっていた。

私はネットサーフィンなどまずしないが、患者さんから医院名まで教えて頂いたのでHPを拝見してみた。

院長は○○インプラント学会日本支部の認定医であった。日本支部認定医はインプラント20症例のレントゲン写真の呈示のみで取得可能だ。

学会認定医ではあるが、口腔外科専門医でも歯周病専門医でもなんでもない。結局のところこの院長先生は 「ただの歯医者」 である。。。

しかし、HPは私が見てもインプラントに精通した歯科医師に見える。

この様なHPを掲載している歯科医院には、インプラント治療を考えている患者さんが多数受診してしまうのではないか。

それが故、自己の技術や知識を逸脱した症例でも「過信」から引き受けてしまうのではないだろうか。

結果、NHKの言う「十分な技術を持たない歯科医師が無理に治療を行っている実態」となっているのではなかろうか。
 

もちろん、チャレンジングな症例を行うこともあるだろう。

臨床のスキルは症例数に比例してアップしていく。

症例数とは言え、困難な症例は他の医療機関に紹介していればトラブルに遭遇する危険は少ないだろうが、それではスキルの向上は得られない。

難症例への挑戦はトラブルのリスクは増すのである。

しかしその症例のどこが・なぜ困難であるのか。。。チャレンジした場合どの様なリスクがあるのか。。。

などを予め患者さんと共有していれば、たとえ手術後の経過が思わしくなくても、トラブル症例とはならないのではないかと思うが、如何であろう。

 

 

 

 

 

「医療は確実なものではない。」

医療の人間不在を批判していた大阪大学名誉教授の中川米造先生は、不確実な医療を人と人とのコミュニケーションと言う観点から捉え直せないかと考えていたそうである。   

 

 

 

 

 

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