いいの歯科医院のインプラント治療2

歯科用インプラントはスウェーデンのブローネ・マルク教授(整形外科医)が、チタン製インプラントを開発したことで、その臨床的信頼性が大きく向上しました。

インプラントは1965年から臨床応用が始まり、1980年代には日本を含め多くの先進国の歯科臨床で用いられる様になりました。

現在、ブローネマルク教授のデータとして発表されている10年以上の累積残存率は96%、5年以上では98%と報告されています。

 

しかしインプラントは骨と歯肉を貫いて、口の中に飛び出ている状態です。

非生体性物質であるチタン製インプラントと骨や歯肉と言う生体との結びつき。。。これは医学的に「病態」と言っても過言ではありません。

 

では、「病態」であるインプラントがなぜ歯科医療の臨床に応用されているのでしょうか?

それは数多くの研究や臨床データから、「チタン製インプラントは骨や歯肉にくっつきやすい」と言う性質を利用しているからです。

チタン製インプラントは骨と強固に結合するのです。

しかしここで注意が必要です。それは「くっつきやすいこと」は、「離れないこと」を約束した訳ではないと言うことです。

 

 

骨はインプラントから離れることがあります。

インプラントと骨がはがれる症状はいくつかありますが、多くは「インプラント周囲炎」と「インプラント過重負担(オーバーロード)」です。

 

インプラント周囲炎となったインプラント周囲からは、歯周病と同じ細菌が検出されています。

また、歯ぎしりや喰いしばりの習慣がある患者さんへのインプラントは、インプラントオーバーロードが認められる事が多いです。

 

したがって、これらインプラント治療後に起こりうるトラブルを防ぐために何が必要かと言うと、インプラント治療前の対応です。

歯周病が原因で抜歯となった患者さんへのインプラント治療は、歯周病治療無しにはあり得ません。

また、歯の根が折れるなのどトラブルで抜歯となった患者さんへは、噛む力(喰いしばる力・歯ぎしりなどの力)への対応無しにインプラント治療はあり得ません。

 

これらインプラント治療前の対応は、歯への対応と全く一緒です。

ご自身の歯をお口の中で長期に機能させること。。。それは、インプラントをお口の中で長期間機能させることと全く変わらないのです。

 

では、インプラントはブリッジや入れ歯より良い治療法なのでしょうか?

私の答えは、歯を失った原因を踏まえて治療すれば、ブリッジでも入れ歯でも、インプラントでも同じと考えています。

あとは、健全な歯を削ることを納得できるのか、取り外しの入れ歯を許容できるのか、インプラント手術を受け入れられるか。。。などから治療方法を決めれば良いと思っています。

 

 

インプラントを長期間お口の中で機能させるために。。。それはインプラント治療前の診断が大切なのです。

 

 

 

今夜は歯考会の例会でした。

プレゼンターは5名の先生方、ご苦労さん!

おじさん顧問は疲れました;(

 

 

 

写真はプレゼンする鎌田先生。

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