先週の土曜日に高校時代からの親友から連絡がありました。
以前治療した歯の詰めたものが外れたとの事。
お口の中を拝見してみると、それは私が大学卒業直後に治療した歯でした。
自分の削り方だったのですぐに私が治療した歯だとわかりました。
私は卒業後21年経過していますので、実に20年近く前の私の治療結果を拝見することが出来ました。
幸いセメントが溶解したのみで、噛みあわせの調整をし、再度装着するのみですみました。
自分の治療した経過を診ることは、臨床家にとって最も勉強になることです。
開業してから10年、20年の経過症例を拝見できる機会は多々あるでしょうが、卒直後の症例を20年経過してから拝見出来る機会はとても少ないと思います。
親友は高校時代から几帳面な性格で、さらに何でも卒なくこなすタイプでした。
センスの良い彼は20年前の私の治療の後、デザインの勉強のためパリに留学しました。
帰国後の現在は超メジャーブランドのチーフデザイナーとして活躍しています。
私の20年前の治療結果が良好だったのは、そんな彼の器用なホームケアに救われたのが一番の理由でしょう。
でも、良好な結果にはもう一つ理由がありました。
彼の噛みあわせのバランスから、喰いしばってしまうと奥歯に負担がかかる傾向があったため、併せてマウスピース(ナイトガード)の装着もお願いしていました。
マウスピースは何度か作り直しをしたかと思いますが、先週の土曜日にはチェックのために持参していました。
マウスピースを見ると予想通り歯形が残っていました。
「きっと強く喰いしばっているんだね!」と親友。
「良く使っていたなぁー」と私。
彼は私の忠告を20年も守っていてくれたのです。
私は歯科医として入れ歯もつくりますし、お子さんのむし歯も診ます。また矯正治療もします。
歯周病で失われた骨を再生させる手術もしますし、鼻の穴を押し上げてインプラントを埋入するオペもします。
しかし、私の一番の仕事は歯を残すことです。
一昔前、人生は50年でした。しかし科学の進歩で多くの方が80歳まで生きられる様になりました。
歯は50年もてば良いように作られている、との話もあります。
食文化が発展し、柔らかい食べ物が氾濫する現代において、80歳まで自分の歯を残すためには「予め防ぐ」という概念がないと無理ではないでしょうか。
その為には「歯と歯茎に良いことを取り入れ、歯と歯茎に良くないものは排除する。」ことが最も大切です。
歯と歯茎に良くないもの・・・。それは「細菌」と「無意識下で喰いしばる力」なのです。
愛犬「くう」
今夜は明日発表の歯考会のプレゼンを作っていました。
深夜まで仕事をしていたためか、ついつい語ってしまいました(^ ^)
今私は、私が弾くギターに親友が歌を添えてくれる遊びが、おじさんの数少ない楽しみのひとつとなっています
おやすみー!