2月26日土曜日、ベルサール九段にて平成22年度 日本大学松戸歯学部同窓会生涯研修セミナーを開催致しました。
講師には同級生の平野浩彦君をお呼びし、「認知症の食を支える基礎知識」の演題でお話頂きました。
認知症は2004年に「痴呆」から替わる呼称として世間に紹介され、その後急速に一般社会へ浸透したそうです。その理由を平野君は「痴呆」という言葉にネガティブな印象があったためではないかと推測されておりました。
また、認知症の患者数は全国で200万人存在するとされ、その数は糖尿病の230万人とほぼ同数です。それは75歳以上の方の3人にひとりが認知症である計算になるそうです。
しかしながら生活習慣関連疾患である糖尿病に比べても身近な疾患ではないのがこの認知症の特徴で、その理由のひとつに、疾患を患った方が社会から距離をおいてしまうためではないかとお話しされました。
講演会は、この様な身近なテーマの分析からお話しされ、会場は興味津々の空気に包まれました。
認知症はアルツハイマー型と脳血管性の二つに大きく分けられ、その中の6割がアルツハイマー型認知症だそうです。
アルツハイマー型は脳が委縮し、神経伝達物質に異常が生じ、脳の総重量が減少します。
結果、記憶や言動などに障害が現れ、本人だけでなく家族も巻き込み、生活に支障を与えます。
また、この疾患は摂食機能に問題を起こすのが特徴で、多くの場合日本では胃ろうなどの処置が施されているそうです。平野君はこの様な医学的対応が非人道的であると痛感し、そもそも高齢者の口腔ケアが専門であったためさらに見識を深め、現在では日本の認知症摂食機能障害に対する第1人者になっております。
講演の中で「認知症は治癒することは出来ないが、早期に発見することにより、疾患の進行は軽減可能である。」と力説し、そのため歯科医師・歯科衛生士として見過ごしてはならない言動を、画像や動画を駆使してご説明下さいました。
私は同窓会学術担当理事の職務上、司会および座長を務めさせて頂きましたが、同期の平野君には鼻が高い思いをさせて頂きました。
「平野先生の講演はとても楽しいよ」と噂では聞いておりましたが、その噂通りの講演で、声も良く、今後は「世界一受けたい授業」への出演を目指してほしいと思いました
当日会場は満席で、同窓会員だけでなく摂食機能研修会の方、介護医療の現場に勤務する方、また遠く札幌から参加する方もおられ、彼の人望の厚さがうかがえる大盛況の会となりました。
最後に多くの同期卒業生にご参加を頂きましたこと、お礼申し上げます。
<私は親友ひとしと痛飲しました>
写真は演者の平野君。
座長の院長。