Q1:歯周病とはどのような病気ですか?

A1:歯周病とは歯の周りの歯ぐき(歯肉)や歯を支える骨(歯槽骨)が破壊される病気です。かつては歯槽膿漏と言われていました。治療せずにおくと歯が揺れかみにくくなり最後には抜け落ちてしまいます。歯周病は30歳以上の日本人の約8割がかかっていると言われています。また80歳以上の平均残存歯数は米国の15本に対し日本は4、5本でかなり少ないです。先進国の中でも際立っています。

Q2:歯周病はどのような症状があるのですか?またどのように進んでいくのですか?

A2:歯周病の症状は、歯肉の赤味、腫れ、出血、口臭、歯肉のかゆみ、唾液のネバネバ、歯が動く、歯肉の退縮、歯が抜けるなどで、この変化は進行の程度によってまちまちです。

歯周病の進行は、たいていは非常にゆっくりしています。欧米でも歯周病はサイレントディディーズ(静かなる疾患)と呼ばれ日常の口腔内の変化はなかなか気がつきません。かなり進行した状態でも自覚する症状は少ないのが普通です。多くの場合歯周病になっていることを自覚するのは歯槽骨が破壊され歯が動くのを感じてからです。

Q3:歯周病の原因は何ですか?

A3:歯周病は細菌による感染症です。お口の中にはおよそ400種類の細菌が住んでいます。これらは普段あまり悪さはしませんが、ブラッシングが充分でなかったり砂糖を過剰に摂取すると細菌がネバネバした物質を作り出し歯の表面にくっつきます。これを歯垢(プラーク)といいます。その中で歯周病を引き起こす細菌は酸素を嫌う性質を持っているため、歯ぐきの境目(歯周ポケット)に入り込み、時間と共に自分たちの居心地の良い場所を作るため、歯ぐきや骨を壊す酵素や毒素を産生しながら酸素濃度の薄い歯周ポケットの奥へ奥へと入っていきます。細菌がポッケトの奥へ侵入してくると生体は細菌と戦う兵隊(白血球)を出します。ここで生体が勝つと歯周病は進行しにくいですが、細菌の量が多かったり生体の防御が弱いと白血球では対応できなくなりマクロファージなどの免疫細胞を出します。この免疫細胞が細菌から逃げるように生体の歯槽骨に指令を出すため骨が破壊され歯周病の症状が強く出てきます。

Q4:歯周病はうつりますか?

A4:はい。うつる病気です。歯周病菌はヒトからヒトへ接触感染していきます。親子、夫婦でも感染します。口移しの食事やスプーンなどの共用、キスなどで感染します。ただ親子や恋人とのスキンシップは大切な愛情表現です。スキンシップを控えるのではなく感染しにくいお口を保つ様に心がけましょう。

Q5:歯周病菌はどこから来るの?

A5:もし、母親が歯周病にかかっていたり、歯周病菌を持っていたりすると、その子供は生まれてから食生活が確立するころには歯周病菌に感染することになります。しかし、ほとんどの場合、その子供が成人するまでは発症することはありません。その理由は、歯周病菌はとても弱い菌であるため、繁殖するのに時間がかかるからです。

もう一つの理由に歯周病の発症には免疫(体が異物と闘う反応)が関与しているため、免疫機能が完成していない子供は症状としてあらわれにくいです。

さらに歯周病になり難いとか、なり易いとかいった『遺伝的要因』および喫煙、加齢、ストレスなどの『環境要因』の二つの要因が関わっていることがその理由です。

Q6:歯周病に抗生物質は効果があるのですか?

A6:抗生物質は歯周病の症状が強く現れたとき(腫れたり痛んだりしたとき)や全身的に細菌感染しやすい状態になっている時には使用します。しかし歯周病菌は集団で歯の根の周りにバイオフィルムと言う膜を作って潜んでいます。抗生物質はその膜を壊しにくいですし、歯の根の周りに行き届きにくいです。したがって抗生物質のみで歯周病の治療を行うことはありません。

Q7:年をとるから歯周病になって歯が抜け落ちるのですか?

A7:いいえ。歯が抜け落ちるのは年齢のせいではありません。歯周病も虫歯も細菌感染症です。したがって細菌が少なく保たれていれば、歯は抜け落ちません。お年寄りになるから入れ歯になるのは間違いです。

しかし残念ながら年をとるにつれ唾液が出にくくなり、また歯ぐきが退縮し(上あごでは歯ぐきの位置が上がり下あごでは下がる事)歯の根が露質し細菌が停滞しやすい環境になります。それに伴い歯周病や虫歯になりやすい環境となってしまいます。また虫歯治療の冠などのかぶせ物も年齢とともに多くなると言うデーターもあります。かぶせ物の周囲は細菌の格好の隠れ家となります。歯周病予防には虫歯の予防も大切です。歯はなるべく削らないでいいように管理しましょう。

Q1:咬合性外傷って何ですか?

A1:歯を噛み合わせた時一部だけ強くあったったり(本人にはわかりにくいです)異常な方向の力を受けたり、異常な力で噛んだりすると歯や歯ぐき(歯周組織)が負担過剰になりさまざまな症状を引き起こします。この不適切な噛む力の事を咬合性外傷といいます。日中常に喰いしばったり、寝ている間の無意識時に喰いしばったり歯軋りをしたりします。自覚症状が少ないのが特徴なため対応にも厄介です。

Q2:歯軋りや喰いしばりにどんな害があるのですか?

A2:不適切な強い力は歯周病の症状を憎悪させます。歯周病の憎悪因子のなかでは最も悪い因子です。これは歯の磨耗(咬耗)を進行させ、かみ合わせを低くしかみ合わせのバランスを壊したりします。また歯の歯ぐきとの境い目の歯の一部を割れさせ知覚過敏症(冷たい物にしみる病気)になったり、歯の神経に痛みを感じさせたりします。さらに口内炎が出来やすかったり舌が痛んだりもします。また顎関節症(顎が開きにくくなったり痛くなったりする病気)をおこしたりもします。

Q3:歯軋りの原因はなんですか?

A3:歯軋りの原因はまだ完全には解明されていません。以下の因子が何らかの影響を与えていると考えます。ストレス、遺伝、無意識下の模倣(母親が歯軋りをしていると一緒に寝ている子供が無意識に真似をしてしまう)、睡眠時無呼吸症候群の存在、イビキ、かみ合わせの不良、寝相(うつ伏せね等)などです。

Q4:歯軋りを止めることはできるのですか?またその対応はあるのですか?

A4:現在の歯科医学では残念ながら歯軋りを止める有効な方法はありません。したがって対処療法(病気や症状の原因を取り除くのではなく症状を抑える治療法)が主体となります。対応にはマウスピース(ボクシングの選手が口の中にいれる装置に似ています)を作り調整したり、部分的に歯を削ったり修復材料を足したりしてかみ合わせを調整したりします。また寝る前に喰いしばらないように自己暗示をかけるのも有効です。